平家琵琶の豆知識

平家琵琶の相伝者の立場から、やや専門的な解説をするブログです

教習

平家指南抄

『平家音楽史』には、「平家指南抄」なる文献の引用があります。誰が何時ごろ書いたものなのかは述べられていませんが、いわゆる口伝をまとめたものと思われます。 引用されているのは、望ましくない語り方・環境を述べた11項目です。 常に嗜むべき事 一 目…

伝授謝礼のこと

『平家音楽史』には、寛政年間に弘前藩士・楠美則徳(くすみのりよし)が参勤交代で江戸に上った折、三島自寛について平家琵琶を学んだときの記録が出ています。 字読 此は盲人ばかりなり、常の人は直に本にて読み習う也 盲人は節をつける前に、詞(ことば)…

教習の順序のこと

平家琵琶では平家物語をすべて語りますが、習う順番はお話の順番とは異なります。 全部で200句あるうちの、天皇家や歴史や宗教に大きくかかわるものを「伝授物」とし、それ以外を「平物」といいます。 平家正節(へいけまぶし)全199句 平物(ひらもの) 一…

入門式のこと

『平家音楽史』によると、平家琵琶の師に入門しようとする人は、師家に起證文を差し出すことになっています。おそらくこれは、盲人団体の当道座に入るときの手続きに由来するものです。 盲人最高位の検校(けんぎょう)のうち、特に平家琵琶に秀でた者は、宗…