平家琵琶の豆知識

平家琵琶の相伝者の立場から、やや専門的な解説をするブログです

2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

琵琶を描いた絵など

オークションサイトを見ておりますと、琵琶をモチーフにしたグッズが出品されていることがあります。でも、致し方ないことなのでしょうけれど、細部に至るまで精巧に琵琶を模してあるものは少ないです。 これは、そいういったグッズに限ったことではなくて、…

館山漸之進と私のこと

質問をいただきましたので、ここに記しておきます。 弘前藩士だった私の先祖の楠美則徳(くすみのりよし)と、その孫である楠美太素(たいそ)は、参勤交代を利用して、江戸において平家琵琶を修得しました。 楠美太素の三男である館山漸之進(ぜんのしん)…

上杉謙信が聴いた平家琵琶

平家琵琶は、どのようなところで演奏されてきたのでしょうか。 小泉八雲が創作した「耳なし芳一」の話を思い出してみてください。芳一は、夜な夜な“貴族の屋敷”に出かけて演奏していますよね。これなんです。(小泉八雲は、盲人にまつわる複数の怪談を集めて…

平家指南抄

『平家音楽史』には、「平家指南抄」なる文献の引用があります。誰が何時ごろ書いたものなのかは述べられていませんが、いわゆる口伝をまとめたものと思われます。 引用されているのは、望ましくない語り方・環境を述べた11項目です。 常に嗜むべき事 一 目…

琵琶の種類

詳しくは平家詞曲研究室に記してあります。ここではごく簡単に。 琵琶が日本に伝来したのは奈良時代に遡ると考えられています。 その後、いくつかの種類の琵琶が日本において生まれ、現代まで伝えられています。流派が違うのではなく、成立背景や楽器そのも…

伝授謝礼のこと(安政年間)

『平家音楽史』には、安政年間に弘前藩士・楠美太素(くすみたいそ)が参勤交代で江戸に上った折、麻岡検校より平家琵琶を学んだときの記録が出ています。 太素は則徳の嫡孫です。弘前において、則徳から平家琵琶を習った工藤行敏(繁治)から手ほどきを受け…

伝授謝礼のこと

『平家音楽史』には、寛政年間に弘前藩士・楠美則徳(くすみのりよし)が参勤交代で江戸に上った折、三島自寛について平家琵琶を学んだときの記録が出ています。 字読 此は盲人ばかりなり、常の人は直に本にて読み習う也 盲人は節をつける前に、詞(ことば)…

教習の順序のこと

平家琵琶では平家物語をすべて語りますが、習う順番はお話の順番とは異なります。 全部で200句あるうちの、天皇家や歴史や宗教に大きくかかわるものを「伝授物」とし、それ以外を「平物」といいます。 平家正節(へいけまぶし)全199句 平物(ひらもの) 一…

入門式のこと

『平家音楽史』によると、平家琵琶の師に入門しようとする人は、師家に起證文を差し出すことになっています。おそらくこれは、盲人団体の当道座に入るときの手続きに由来するものです。 盲人最高位の検校(けんぎょう)のうち、特に平家琵琶に秀でた者は、宗…

弁才天と琵琶

弁天様は音楽・弁才・財福の神様。弁才天とも弁財天とも書きます。学問や芸術の神様としても活躍しています。 琵琶を持った姿で描かれたり、像になっていたりする例が多いですね。さて、この琵琶について考えて見ましょう。 弁天様はインドから中国経由で渡…