平家琵琶の豆知識

平家琵琶の相伝者の立場から、やや専門的な解説をするブログです

教習の順序のこと

平家琵琶では平家物語をすべて語りますが、習う順番はお話の順番とは異なります。 全部で200句あるうちの、天皇家や歴史や宗教に大きくかかわるものを「伝授物」とし、それ以外を「平物」といいます。 平家正節(へいけまぶし)全199句 平物(ひらもの) 一…

入門式のこと

『平家音楽史』によると、平家琵琶の師に入門しようとする人は、師家に起證文を差し出すことになっています。おそらくこれは、盲人団体の当道座に入るときの手続きに由来するものです。 盲人最高位の検校(けんぎょう)のうち、特に平家琵琶に秀でた者は、宗…

弁才天と琵琶

弁天様は音楽・弁才・財福の神様。弁才天とも弁財天とも書きます。学問や芸術の神様としても活躍しています。 琵琶を持った姿で描かれたり、像になっていたりする例が多いですね。さて、この琵琶について考えて見ましょう。 弁天様はインドから中国経由で渡…

奉納演奏

平家琵琶を奉納する、と言ったら、たいていの場合は「演奏を奉納する」という意味になります。 似たような奉納として、奉納相撲や奉納流鏑馬を挙げることができます。神仏に向かって平家琵琶を演奏するのですが、洋楽器も和楽器も舞台の上で演奏する機会が多…

討ち入りと平家琵琶

江戸時代には、茶人たちも平家琵琶を嗜みました。 たとえば、千宗旦の弟子である茶人の山田宗へん(そうへん:「へん」は“にんべん”+扁)は平家琵琶への造詣が深く、自ら五十数面の琵琶を製作したといいます。 また、茶会のとき、茶室の外に待つ来客を迎え…

連れ平家の補足

上で述べた連れ平家を「語り分け(かたりわけ)」「掛合(かけあい)」という例もあるようです。 『平家音楽史』に「平家曲節考」という資料からの引用として 助音をするは、我を忘て導に従ひ、位もなく、軽く語るなり。軽きとて早きは悪し、導師は美しく伸…

連れ平家(つれへいけ)

平曲は、原則として一人で語りますが、時により、二人で語ろう、という状況が生じることもあります。このようなときには、ひとりを「導師(どうし)」、もうひとりを「脇(わき)」として、ひとりずつ語ったり、二人が声を合わせて語ったりします。 これを「…