平家琵琶の豆知識

平家琵琶の相伝者の立場から、やや専門的な解説をするブログです

詞章と解説

「腰越」解剖2

下音 益無き命は存ずと云へども、京都の経回難治の間、身を在々所々に隠し、辺土遠国を栖として、土民百姓などに服仕せらる。 上音 然るに、交契忽ちに純熟して、平家の一族追討のために上洛せしむる手合せに、まず木曽義仲を誅戮の後、平家を攻め傾けんがた…

「腰越」解剖1

平家琵琶では、腰越状の部分は「読物」という特殊な節まわしで語ります。「読物」は「伝授物」の一つで、「平物(ひらもの)」161句の口伝を終えていないと教習が許されません。また音の構造理論も複雑ですので、技術面では大小秘事より難易度が高いといえま…

那須与一 徹底解剖3

口説(くどき:説明を淡々と語る) 味方の兵者共、与一が後を遥に見送って、一定この若者仕る可存じ候と申しければ、判官も頼し気にぞ見たまひける。矢比少し遠かりければ、海の面一反斗打入たりければ、未だ扇の間、七反斗も有るらんとぞ見へし。 与一の後…

那須与一 徹底解剖2

拾(ひろい:合戦の場面を勇ましく語る) 与一、其頃は未だ二十斗の男也。褐(かち)に赤地の錦を以て、壬(おおくび)衽(はたそで)彩へたる直垂に、萌黄匂の鎧着て、足白の太刀を帯き、二十四指たる截生(きりう)の矢負い、薄截生に鷹の羽割合せて矧だり…

那須与一 徹底解剖1

平家琵琶における「那須与一」の詞章を紹介しつつ、私の視点から解説をしていきます。 漢字や送り仮名は、私がいつも使っている譜本に準じました。 読みかたについては、特別なものについては( )に示しましたが、それ以外は拙著をご覧下さい。 口説(くど…

平家物語「紅葉」の名言

平家物語巻之六に、高倉天皇の仁徳を称える「紅葉」という句があります。 この中で、まだ若かった高倉天皇は、女主人の装束を奪われた女童(めのわらわ)の存在を知り、仁徳が至らないから犯罪があるのだと嘆かれ、后(徳子)の装束を女童に賜わせて当直の武士…

壇ノ浦の日、「内侍所都入」、「能登殿最後」

本日は旧暦3月24日。壇ノ浦の合戦があった日です。 1185年の今日、本州と九州の間に位置する壇ノ浦において、源平両軍が戦います。海上の戦に長けているはずの平家軍ですが、(おそらく)潮流の変化により不利となり、ある者は入水し、ある者は生捕となるの…

「那須与一」の日

本日(2005年3月27日)は、旧暦では2月18日。 1185年の2月18日(太陽暦に直すと3月21日とのこと)には、源平両軍が四国の屋島で合戦をしていました。 当時は夕方になると休戦するのが習慣でした。燃料の節約だったのでしょう。 源平両軍が、しまい支度をして…

「木曾最期」の日

本日は旧暦の一月二十一日。「宇治川の合戦」の翌日ですから、木曾義仲の命日となります。 比は正月二十一日、入相(いりあい)斗(ばかん)の事なれば、薄氷(うすごおり)は張ったりけり。深田(ふかだ)有るとも知らずして、馬を颯(ざっ)と打ち入れたれ…

「宇治川」の日

本日は、「宇治川の合戦」が行われた日です。 現代我々が使っている暦の2月28日ではありません。陰暦で、今日が一月二十日にあたるのです。数日前、東京でも雪が降りました。雪かきなどで日陰に雪を寄せたところでしたら、まだ解けきらずに残っているのでは…